タイ初のモノレール路線 無料試験運行を開始 バンコク郊外結ぶ「MRTイエローライン」

タイのイースタン・バンコク・モノレール社(EBM)は、バンコク東部近郊エリアで整備を進めてきたモノレール路線「MRTイエローライン」の一部区間において、2023年6月3日(土)から運賃無料による試験運行を開始しました。

MRTイエローラインで試運転を行っているアルストム「イノビア300型」モノレール(Tarmashiba/Wikimedia, CC BY-SA 4.0)
MRTイエローラインで試運転を行っているアルストム「イノビア300型」モノレール(Tarmashiba/Wikimedia, CC BY-SA 4.0)

紆余曲折の末ようやく開業へ

イエローライン計画は2000年に初めて公式に策定されましたが、度重なる計画の見直し、クーデターによる軍事政権誕生などの要因によりなかなか事業化されませんでした。

ようやく動き出したのは2016年12月で、BTSグループ、シノ・タイ・エンジニアリング、ラーチャブリー発電の3社合弁会社BSRが政府の官民連携方式(PPP)による入札に応じ、イエローラインの建設・運営権を獲得しました。翌2017年6月、BSRはタイ都市高速交通局(MRTA)と建設や車両調達などに関する契約を締結し、路線の運営を担うEBMを設立してプロジェクトを進める体制を整えました。

イエローラインは、MRTブルーラインと接続するラートプラーオ駅(バンコク都)を起点に、BTSスクムウィット線との乗換駅であるサムローン駅(サムットプラーカーン県)まで、バンコクの東部郊外を半環状に結びます。一時期は通常鉄道方式も検討されましたが、中心部に乗り入れない二次交通であることから、中量輸送機関で建設費が抑えられるモノレール方式がタイで初めて採用されました。

2018年3月に建設が始まったものの、新型コロナウイルス感染症の影響による工事の停滞により完成は延期を繰り返しました。最終的に、独立した技術者を迎えたMRTAによる検査を経て、一般の利用者が乗車できる試験運行が承認されました。

(MRTイエローライン試験運行の概要、整備中路線を含むバンコク首都圏の鉄道路線図など詳細は下の図表を参照)

【路線図で解説】MRTイエローライン試験運行の概要、整備中路線を含むバンコク首都圏の鉄道路線図

試験運行区間は段階的に拡大

2023年6月3日(土)から一般開放されているのは、エアポート・レール・リンク(ARL)や国鉄(SRT)東線と接続するフアマーク駅以南、サムローン駅までの13駅の区間です。運行は9:00〜20:00に限られ、時間帯を問わず10分間隔で列車が設定されています。

試験運行中の運賃は無料ですが、券売機でカード型の乗車券を発券し、改札機に読み取らせてから乗車する必要があります。正式開業後は、BTSスカイトレインや市内店舗などで利用できるICカード「ラビットカード」での乗車も可能となります。

運行区間の拡大については、現在の運行状況についてMRTAが議論した上で決定します。タイの放送局BEC(チャンネル3)の報道によると、6月12日(月)からの試験運行はラートプラーオ駅〜サムローン駅間の全23駅間とし、運行時間も6:00〜21:00に拡大するよう検討しているとのことです。

また、6月19日(月)にもプラユット首相が正式に承認し、イエローライン全線で営業運転を開始するとも伝えています。

イエローラインの車両は、カナダ・ボンバルディア社の輸送部門を買収した仏・アルストム社と、中国の車両メーカー、中国中車南京浦鎮の合弁企業が中国・安徽省で製造した「イノビア300型」です。高架の走行軌道にまたがって走行する跨座式モノレールで、列車制御システムとの通信により完全無人運転を実現しています。現在は4両編成ですが、輸送状況に応じて7両までの拡張が可能です。